こんにちは。
設備の図面を描いていると、「BIM(ビム)」って言葉、最近ほんとによく耳にするようになりましたよね。私も最初は「BIMってなに?なんだか難しそう…」と思っていた側です。
でも、建物づくりのやり方が変わってきてる今、
建設の現場では、どんどんこのBIMが使われるようになっていて、
設備会社でもBIMが避けて通れない流れになってきたなぁ…と、肌で感じています。
ところが「BIM」と検索すると、建築のことばかり出てきますし、求人情報も、まるで「BIM=建築」と言わんばかりです。
でもBIMは、空調・衛生・電気等の設備抜きでは語ることはできないはず。
今回は、「設備会社の場合は、BIM対応ってどんなことをしているの?」というテーマで、
難しい専門用語はできるだけ使わずに、自分の体験談も交えながらお話ししていきますね。
そもそもBIMって、何をするの?
ざっくり言えば、これまで2Dの図面でやっていたことを、3Dにして建物の中で再現してみようという考え方です。
たとえばダクトや配管、電気ラックや盤などを立体で描いてみることで、
- 他の設備や建物とぶつかっていないか?
- 高さや勾配は合っているか?
- 機械のメンテナンススペースは取れてるか?
…といったことを、目で見て確認できるようになるんです。
例えば電気設備の場合、ケーブル自体はさほど場所を取らないのですが、ケーブルをまとめて乗せる「ケーブルラック」というものは、そこそこのスペースが必要です。
なので、よくダクトと場所争いをしています(笑)
↑上がケーブルラック、下がダクト
(この写真は直天(じかてん)と言って天井が無い部屋なので、スペースにまだ余裕がありますが、天井内に納めなければならない上、配管もたくさんある場合は、頭をひねってひねって施工図を描くハメになります。)

あと、動力盤や制御盤など、盤の上に水などの液体が流れる配管が通過するのはNGなので、そういった面も考慮が必要です。
設備会社が関わるBIM作業って、具体的にどんなこと?
私のこれまでの経験や、周囲の方々の話をもとにまとめると、設備のBIM対応は大きく分けて次のような作業があります。
1. 設備の3Dモデルを作る
空調や給排水、電気などの施工図を、3D CADで作っていきます。
ここで大事なのは、サイズや位置、レベルをちゃんと合わせて作ること。
現場で「通らなかった!」なんてならないように、細かく作り込む必要があります。

いざ工事に入ったら、現場作業員さんから「納まらない!」と言われて、急いで施工図を描き直すなんてコトもザラです。
また、機械が大きすぎて設置できないから、他の型に変更するなど、いろいろな変更が発生します。
2. 他の図面と重ねて、ぶつかっていないか確認
建築や構造のモデルと重ねて、「この配管、梁と当たってない?」みたいなチェックをします。

「干渉チェック」といいます。
これまでは、構造(柱や梁など)の情報はゼネコンさんなどから2DのCADデータで受け取るのが一般的でした。
そのため、設備会社のほうで柱や梁を自分たちで3D化する作業が必要で、けっこう手間も時間もかかっていました。
しかも、構造設計に変更が入ったときには、それに追いつくのが遅れてしまうこともありました。
特に、排水関係の配管(たとえばトイレの汚水や、洗面所の雑排水など)は、勾配(自然に水が流れるよう、下流に向かって傾けること)を確保しなければなりません。
そのため、配管の高さには制限があり、梁の下を通れない場合は、梁に“スリーブ”(貫通穴)を開けてもらう必要が出てきます。
こういった調整は、工事の初期段階で明確にしておかないと、後から対応が難しくなるため、非常に重要なポイントになります。

そんなことが後から判明した日にゃ、そりゃ~もう悲惨です。
これを事前に3Dで見つけて直しておくのがBIMの強みです。
建築・構造・設備、ぜんぶのモデルを重ねてチェックするんですね。
現場で「このダクト、梁下を通らないよ!」「この排水管、スリーブが必要だよ!」ってならずに済むので、施工の無駄も減らせます。
3. モデルから施工図を作る
「じゃあ紙の図面はもう使わないの?」って思うかもしれませんが、BIMは3Dが主役とはいえ、最終的にはやっぱり施工図(2D図面)も必要です。
モデルから図面を切り出して、必要な寸法や記号を整えて現場に渡します。
3Dで作ったモデルを元に、見やすくて使いやすい図面に落とし込む作業も重要です。
4. 施工の流れをシミュレーション
とくに大きな現場では、「どの順番で取り付けていくか」まで可視化することがあります。
まるでアニメのように再現できるので、工期の見通しを立てたり、安全確認にも役立ちます。
とくに大きな現場では、これがあると作業の段取りがスムーズになります。
5. 完成後の管理にもつながる
最近では、建物が完成したあと、設備のメンテナンス情報までBIMに入れることが増えてきました。
たとえば、
「この機械はどこのメーカー?」
「設置日はいつ?」
「点検サイクルは?」
こういう情報がデータとして残っていると、管理会社さんにとってもありがたいですよね。
自分の描いた施工図を、VRで体験した話
実は私、BIMの仕事に本格的に関わったことはまだないんですが、
ある時、自分が描いた施工図が、どのようにBIM化されるのか、VR(バーチャル・リアリティ)で体験する機会がありました。
Tfasで描いた空調・衛生設備の施工図と、ゼネコンさんからいただいた建築の3Dデータを重ねてBIM化。
次にVR用のゴーグルをつけ、3D画像の中を歩きまわってみました。
すると…
本来はただのオフィスなんですけど、ゴーグルの中では実際に建物の機械室の中を歩いている感覚!
低いダクトに頭がぶつかりそうになったり、いつの間にか外壁を通り抜けて、バーチャルの2階から落ちそうになったり(笑)
CADの3D画像を見るのと、実際にその空間に“入って”みるのでは、高さの感覚や狭さの印象が全然違うんですよね。
これまでにも、竣工後の現場を何度か見学させてもらったことがありますが、やはり実物を見ると、「機器同士の間隔が思ったより狭いな」とか、「この配管、こんなに低かったっけ?」と感じたことが多々ありました。
それをVRで事前に体感できるって、本当にありがたいと思います。
今はまだ一部の現場だけかもしれませんが、きっとこれから広まっていくんじゃないでしょうか。
よく使われるBIMソフト
設備BIMでよく聞くソフトには、こんなものがあります:
Rebro(レブロ):設備業界で急速にシェアを伸ばしているソフト。操作もわかりやすい。
Revit(レビット):建築との連携が強く、大手ゼネコンとの仕事に向いています。
Tfas(ティーファス):2D/3D両方対応できて、施工図作成にも強い。

「初心者OK」の求人があった場合、Revitを選ぶと良いかもです!
次点はRebroかな。
まとめ:難しそうに見えて、使ってみると意外と便利
「BIM」って言うと、なんだか新しい技術でとっつきにくい…そんなイメージがあるかもしれません。
でも、まだまだ人手が足りないカテゴリーです。
特に設備業界では、大手サブコンはBIMに取り組んでいますが、地元のサブコンや中堅どころの設備会社は、BIMに追いついていないことがほとんどです。
そんな中で、BIMに対応できるスキルは大きな武器になります。
もし「初心者でも可」の求人があれば、挑戦してみることを超おすすめします!