こんにちは!
空調・換気設備、衛生設備(給排水・ガス等)、電気設備などの設備系のCADって、いろんな種類があります。
例えば
「3D CADを学びたい。」とか
「2D CADからスキルアップしたい。」とか。
そう思った時には、一体どれを選べばいいのか迷っちゃいますよね。
中でも「Tfas」
設備系のCADでは、シェアNo.1と言ってよいほど、幅広く使われている3D CADです。
でも、
「Tfasってよく聞くけど、なんか高そう…」
「他のCADとどう違うの?」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
私も最初は同じように、いろんな情報をかき集めていたひとりです。

特に価格が知りたくて
なので今回はTfasを中心に、
他の代表的な設備CADと比べながら、初心者の方にもわかりやすくまとめてみました。
因みに「設備系って、なんぞや?」というかたは、こちらの記事をご参照下さい。
TfasってどんなCAD?
Tfas(ティーファス)の正式名称は「CADWe’ll Tfas(キャドウェル ティーファス)」
株式会社ダイテックが提供している、空調・給排水・電気設備などの「施工図」に特化したCADソフトです。
実際の現場で使われることを前提に作られているので、サブコンをはじめ設備系の会社ではホント、よく使われています。
作図だけじゃなく、材料拾いや配管チェックなどもできるので、「実務に強いCAD」として知られています。
しかも、2Dだけじゃなく3Dにも対応していて、BIM(ビム)との連携も可能。
最近はBIMに対応できる人材が求められることも増えてきたので、TfasでBIMを扱えるようになると、ちょっとした強みになるかもしれませんね。
ただし、個人向けの無料版は用意されていません。だから、「ちょっと触ってみたい」だけの人にはハードルが高く感じるかもしれません。

特に、空調設備・衛生設備業界でのTfasのシェアは高いです。
ただ、小さな会社や個人事業主などは、Jw_cadを利用していることも多いです。
Tfasの歴史をちょっとだけ振り返ると…
Tfasの歴史について、ざっくり簡単にまとめると、こんな流れになります。
- 2006年10月:「CADWe’ll CAPE(キャドウェル ケープ)」の後継ソフトとして、Tfas(CADWe’ll Tfas)が販売開始
- 2014年3月:Tfasの前身である「CADWe’ll CAPE」の販売が終了
- 2020年3月:Tfasのさらに後継ソフトとして「CADWe’ll Linx」が登場

私が新米CADオペだった2007年頃は、まだTfasを使っている人は少数派で、「CAPE全盛期」という感じでした。
それに当時は、まだセキュリティの制約も緩くて、フリーソフトであるJw_cadを使っている大企業がけっこう多かったです。
※ 現在は、情報セキュリティの観点から、フリーソフトであるJw_cadを企業内で使うケースはだいぶ減ってきています。
Tfasを独学しようとして、すんなりはいかなかった話
まだCADオペ歴が1~2年ぐらいの頃のお話。
「Tfas、使えるようになりたいな…。」
そんな気持ちはずっとあったのですが、当時、CAPEやTfasが与えられていたのは正社員のみ。
派遣社員だった私に与えられたのはJw_cadだけ。
「Tfasって、個人で買えないのかな?」と思って相談したところ、ある社員さんから「Tfasって100万円くらいするらしいよ」と聞いてびっくり!(当時、確かAuto CADは24~25万円程度だったと記憶しています。)
体験版も見当たらず、完全に諦めかけていました。
ところがある日、現場監督の方が「CAPEでいいなら貸そうか?」と声をかけてくれたんです。
「現場じゃ、なかなか触っている時間ないから」と、ありがたい申し出に思わず即答。
でも…実際に起動してみたら、設備専用CADなんて初めてで、もうちんぷんかんぷん。
なじみのないコマンドや、設備独自のパーツ配置に戸惑ってばかりで、結局マスターできないまま終わってしまいました。

当時、Jw_cadで設計図を描いていた自分には、管種や継手、納まりなどの知識がほぼありませんでした。
Tfasにたどり着くまで約7年
その後、いくつかの派遣先を経て、ようやく「Tfasを実務で使う」仕事にたどり着いたのは、それから7~8年後のことでした。
今振り返ると、Tfasに早く触れていれば、もっと違うキャリアの道もあったのかもしれません。(施工図を描ければ、2D CADでの設計アシスタントよりも、ずっと高時給でしたし。)
でもあの頃は、「Tfasは高い」「体験できない」「自分からは、会社に用意してとは言えない」という三重苦があったのも事実です。
そんな経験があるからこそ、「Tfasって高いの?」と気になっている方に向けて、少しでもリアルな背景やヒントを伝えられたら…と思っています。
Rebroなど、他の設備系CADとの比較
「Tfas以外にはどんなCADがあるの?」
「価格はどのくらい違うの?」
という疑問にもお答えできるよう、設備系で使っている主なCADを比較表にまとめてみました。
ソフト名 | 主な用途 | 価格(税別・目安) | 特徴 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Tfas (ダイテック) |
設備施工図(空調・給排水・電気) | 買切:約70万〜100万円サブスク:約年額30〜50万円 | 現場向け機能が充実、BIM対応 | 大手ゼネコンで採用例多数 |
Rebro (NYKシステムズ) |
設備設計・3D BIM | 買切:約100万円〜保守費:約年4.8万円~ | 高機能3D、官公庁案件に強い | 設計重視・価格も高め |
CADEWA (富士通四国) |
設備施工図 | 買切:約70万〜120万円 | AutoCADに近い操作性、2D/3D対応 | 導入実績多数 |
AutoCAD + MEPツール | 設備・建築全般 | 年額:約27万円〜 | 世界標準、アドオンで設備対応 | 英語UIが多く上級者向け |
Jw_cad | 2D汎用CAD | 無料 | シンプルで軽快、国内で人気 | 施工図入門にもおすすめ |
BricsCAD BIM | 汎用BIM CAD | 年額:約8万〜15万円 | AutoCAD互換で学習コスト低め | 個人利用や中小企業に人気 |
※上記以外に、CADのよっては時間課金や月額レンタルプランなどがあります。

CADEWA(キャデワ)は電気設備系の会社が使っていることが多いです。
私はTfasの実務に就く前に、CADEWAで仕事をしていました。
操作性に共通する部分があったので、Tfasにすんなり入っていけたのかも知れません。
オプション機能追加で金額も変わってくる
実は3D CADの価格って、導入してる会社によってバラバラなので、「定価は〇〇万円」みたいに、はっきりとした金額は公表されていません。
購入本数やオプションの有無で違ってきます。
オプションと言えば、
以前、某大手サブコンさんから借りて使っていたTfasは、エアコンの室外機置場などに使う鋼材(溝形鋼など)が、普通の線と同じ感覚で自由に伸ばしたり縮めたりできて、めちゃくちゃ便利でした。
しかし、地元の設備会社さんから貸してもらったTfasでは、なぜかそれができない!
「なんで…?バージョンは同じなのに。どこかに設定がある???」と、ずっとモヤモヤしてたんです。
ところが後日、仕事仲間に「それ、オプション機能だよ。」って教えてもらい、ようやく謎が解けてスッキリ。
Tfasを使っている時にも、常々、(なんか、ちょっと違う)という感覚がありました。
もしかしたら大手サブコンさんのTfasは、オプションをあれこれ付けてくれていたのかも知れませんね。
こんなふうに、必要に応じてオプションを追加していくと、当然そのぶん価格も上がっていく。
だから「Tfasは〇〇万円」と、公式HPにも明記されていないのも、仕方ないのかもですね。
Tfasの後継ソフト「Linx」を学ぶべき?
CAPEの後継CADとしてTfasが発売されたように、いまTfasには、後継ソフトの「Linx(リンクス)」があります。
これからTfasを学ぼうとしている方の中には、ふと、こんなふうに思った方もいるかもしれません。
「Tfasより新しい“Linx”っていう後継ソフトがあるなら、そっちを覚えた方がいいんじゃないの?」
当時、派遣社員としてサブコンからTfasを提供されていた私は、「次はLinxに切り替わるのかも?」と思っていました。
でも、そうはなりませんでしたし、実際のところLinxはそこまで普及していません。
Linxが発売されたときの現場の反応
私がまだフリーランスになる前、某大手サブコンに派遣社員として勤めていた頃の話です。
そのタイミングで、ちょうど「CADWe’ll Linx」がリリースされたんです。
早速、新しいものに前向きな社員さんが試験的に使い始めました。
私はわくわくしながら、その感想を聞きました。
ところが…
「LinxはTfasと操作が全然違って使いにくい…。感覚がまったく合わないんだよね」
確かに、Tfasに慣れた手が覚えている操作感とは違っていて、覚え直しが必要になってしまう部分が多いようでした。
それ以降、その会社内でも「じゃあTfasからLinxに一気に切り替えよう」という動きにはならず、Tfasを継続して使い続ける流れになっていきました。
実際、LinxよりもRebroを選ぶ会社が多い
その後、私はフリーランスになりましたが、いくつかの設備会社さんとお付き合いする中でも、Linxへの切り替えが進んでいる会社にはほとんど出会っていません。
むしろ、「Tfasのままで十分」という声が多く、Tfasからのステップアップで選ばれているのは、LinxではなくRebroという、他社のCADソフトの方が圧倒的に多いんです。
理由はさまざまだと思いますが、
- Rebroの方が3D機能が本格的で、設計段階から使いやすい
- BIM対応がしっかりしていて、官公庁案件にも強い
- LinxはTfasと互換性が中途半端で、切り替えのメリットが薄い
…といった現場の本音があるように感じます。
Tfasを学ぶのは、まだまだ有効な選択肢
「Linxが後継ソフト」と聞くと、どうしても「じゃあ古いTfasより、新しいほうが良いのかな」と迷ってしまう気持ち、すごくよくわかります。
でも、現場の空気を正直に言うと、Tfasはまだまだ現役ですし、Linxが主流になる気配は、いまのところあまり感じられません。
Rebroに乗り換える会社は増えているけれど、Tfasと並行して使われることも多く、Tfasをしっかり扱えるスキルは、まだ十分通用すると思っています。
<参考>目的別、CADの選びかた
どのCADソフトが「いい・悪い」ではなく、「自分が何をしたいのか」で選ぶのがいちばんです。
たとえば…
- 施工図をしっかり学びたい方 → TfasやRebro
- 設計・BIMに関心がある方 → RebroやBricsCAD
- まずは無料で始めたい方 → Jw_cad
- 幅広く建築系の設計に対応したい方 → AutoCAD系
個人的には、Jw_cadやBricsCADのように、はじめの一歩を踏み出しやすいソフトからスタートするのも、ぜんぜんアリだと思っています。
コストも抑えられるし、基本操作を学ぶには十分です。
「Tfasは高い」…それでも習得したほうがよい理由
正直、Tfasは他のソフトと比べても価格は高めです。でもそのぶん、「仕事で使える力」が身につくのも事実です。
特に、Tfasを扱える人は、設備業界ではかなり重宝されます。
実務でバリバリ使っている施工管理の人や、図面担当のCADオペさんも多く、フリーランスとしても仕事のチャンスが広がるかもしれません。

求人情報を見ると、Auto CADの求人が圧倒的に多いですが、実際はTfasの人材は少なくて、売り手市場です。
また、Tfasの特徴は「配管の自動接続」「材料の拾い出し」「干渉チェック」など、現場で役立つ機能が詰まっているところ。「ただ図面を描くだけ」ではない実務感が学べるのもポイントです。
自分に合ったスタートで大丈夫
Tfasが気になるけど、高額すぎて個人で購入するのは厳しいです。
フリーランスで仕事をしている場合、政府の補助金を利用する手もありますが、それでもコストがかかります。
だから、まずは時間課金を利用して練習してみたり、TfasではなくRebroを、月額レンタルで練習するというのもアリです。
設備系のCADオペレーターは、かなり人手不足ですので、好条件で採用してもらえる可能性も広がってきますよ!