【体験談まとめ】施工図を描く仕事に就いた人たちは、どんな道のりを歩んできたのか?

CAD

CADオペレーターとして図面の修正やトレース業務を経験してきた方にとって、
「施工図を自分で描けるようになること」は大きなステップアップになります。

施工図を描けるようになると、単なる“指示待ち”の作業から脱し、図面の意図を理解し、自ら判断して描ける「技術者」としての立場に変わります。

このステップアップには、次のようなメリットがあります:

  • 単価や給与が上がりやすくなる(=収入アップ)
  • 案件の幅が広がり、在宅ワークやフリーランスにも対応しやすくなる
  • 施工管理や設計職とやり取りできる“図面の橋渡し役”として重宝される
  • 職場での信頼が高まり、正社員登用や昇進のチャンスも生まれる

そこで今回は、
「施工図を描く仕事にどうやってたどり着いたのか。」
というテーマで、実際にその仕事をしている方々と、それにプラスして私の体験談をまとめてみました。

施工図の仕事と聞くと「建築のプロしかできないのでは?」と思われがちですが、現場からの転職、子育て明けの復帰、独学での転職など、さまざまな道があります。

これから施工図の仕事を目指してみたい方は、自分に近いエピソードを探してみてくださいね。

 

① 現場作業からCADオペに転向(40代・男性)

「もともと現場で空調の取り付けをやってたんですけど、体力的にそろそろ限界かなと思って。
周りにCADやってる人がいたんで、職業訓練でTfas覚えて、今は施工図描いてます。
現場のことはわかるので、そこは強みかなと思ってます。」

ポイント:
現場の経験があると、納まりのイメージがしやすく、施工図の作成にも説得力が出ます。
特に設備系では、実際に「どう施工するか」をわかっている人材が重宝されます。

私は施工を知らずに描いているので、「知らないものを想像で描く」という苦労があります。その点、施工の経験がある人が羨ましいです。

 

② 設計補助から現場寄りの仕事へ(30代・女性)

設計事務所で、派遣のCADオペレーターをやっていたんですけど、細かい部分が図面だけじゃ分からなくて、現場のことをもっと知りたいなって思っていました。

転職して施工図担当になったら、今まで知らなかった納まりの工夫とか、現場とのやりとりがすごく新鮮でした。」

ポイント:
設計知識を持つ人は、施工図作成は現場と設計の“橋渡し”的な役割。
図面を実際の施工にどう落とし込むか、リアルな調整力が求められる分、やりがいも大きい仕事です。

私もスタートは設計補助からでした。
当時、設計図しか知らなかった私は、施工図に必要な、レベルとか納まりとか干渉チェックなんて、全く考えたことがありませんでした。

たまに、制気口やPS・DSの立管が、絶対納まるはずのない設計をしてくる建築設計士がいます。納まりを考慮してないんですね。

 

制気口→ダクトの空気の出入口

立管→「たてかん」と読む。竪管とか縦管という表現もあるけど、「立っている配管」という意味で、この漢字を利用する設備屋さんも多いです。(私もその一人)

PS→パイプ(配管)スペースの略。配管の縦方向(上下階など)への通り道。一般的には「ピーエス」とか「パイプシャフト」と呼んでいます。

DS→上記の配管に対して、こちらはダクト用の縦方向のスペース(シャフト)。「ディーエス」とか「ダクトシャフト」と呼んでいます。

※他に、電気や通信の配線の通り道の「EPS」があります。これは「イーピーエス」って、そのまま呼んでいるかなー。

 

③ 主婦から在宅CADワーカーに(50代・女性)

「子どもが手を離れたタイミングで“家でできる仕事ないかな”って探してたんです。

CADは初めてだったけど、オンラインの講座で覚えて、今は住宅の施工図の修正作業を在宅でやってます。

最初はドキドキだったけど、なんとかなってます。」

ポイント:
在宅でできるCAD業務は増えており、施工図の一部(修正・チェックなど)を任されるケースもあります。

特に主婦や副業層にとって、スキルさえあれば年齢やブランクを問わず始められる点が魅力です。

私の住んでいる地域にも、最初は出社して、慣れてきたら「在宅ワークOK」の住宅メーカーがあります。

 

④ 専門学校卒業後に即戦力へ(20代・男性)

建築系の専門学校を出て、そのまま設備の会社に入りました。

最初は図面の修正とかが中心だったんですけど、徐々に任されることが増えてきて。
今は先輩のチェックを受けながら、施工図を一人で描けるようになってきました。」

ポイント:
若手の育成を積極的に行う企業も多く、専門知識やCADスキルを持っていれば、早い段階で戦力になれます。

近年はBIM対応の人材も求められており、RevitやRebroを学ぶとさらに活躍の場が広がります。

若い人だと、建築・設備関係の資格を取る人も多いですよね。

昔の同僚CADオペには、「管工事施工管理技士1級」を持っている人や、
何と!「1級建築士」(←難易度、超高い!)を持っている人がいました。
(育児優先のため、CADオペやってるそうです。)

 

⑤ 定年後に図面担当として復帰(60代・男性)

「現場監督を長くやってきましたが、定年後に『図面側で残れないか?』と声をかけられて。
最初はTfasに戸惑いましたけど、慣れたら昔の現場感覚が活かせて面白いですね。
今は若い人のサポートもしながら、まだまだ図面描いてますよ。」

ポイント:
定年後のセカンドキャリアとして、施工図作成に関わるケースも増えています。
体力よりも経験と知識が武器になる職種なので、60代でも現役で活躍できる貴重なポジションです。

私が以前、所属していた設備会社でも、60代の元現場監督さんが、Tfasでバリバリ図面を描いていました。
各現場を回って技術的なアドバイスも行っていて、みんなの尊敬の的でした。

 

⑥ 異業種からの独学転職(40代・男性)

まったく違う業種だったんですけど、コロナで仕事減って、この先どうしようかなって時にCADを知って、独学で勉強しました。最初はクラウドでトレースの仕事から始めました。

今は設備図面を描かせてもらってます。
正直、必死でしたけど、やって良かったです。」

ポイント:
独学での転職は不安もありますが、地道にスキルを積み重ねればチャンスがあります。最初はトレースや簡単な修正業務からスタートし、徐々に任される範囲を広げていく流れが現実的です。

私も20代の頃、少しCADに携わっていたのですが、その後は出産・育児で完全に離れていました。

子供が大きくなってからも、全く別の業種でパートをしていたのですが、40代に突入した時に、「事務系の仕事は若い子を優先で採用する。」と気づいて一念発起!

通信教育でCADを学び、派遣登録して採用されたのがスタートでした。

 

私が施工図を描く仕事に就くまでの体験談

ここからは、私自身の話もちょっとだけさせてくださいね。

今はフリーランスで、在宅で空調や衛生設備の施工図を描く仕事をしています。
メインで使っているCADは「Tfas」という設備系に特化したソフトです。

いきなりフリーランスって言うと「すごいですね!」とか「特別な人?」みたいに思われることもあるんですけど、全然そんなことはなくて…ここまで来るまでに、いろいろ寄り道しながら進んできたんですよ。

【最初は】設計アシスタント&事務の仕事(約7年)

まず最初は、空調や換気、計装、建築意匠とか、いろんなジャンルの設計補助と事務の仕事をしていました。

入退管理システムとか中央監視システムとか、
あと、店舗用の冷蔵設備・冷凍設備(ショーケースなど)にも携わってきました。

派遣社員だと、広く浅く、いろいろ携われるのがメリットでもあり、デメリットでもありますね。

CADはJw_cadとかAutoCAD、それからちょっとマイナーな2Dソフトもいくつか触ってました。

この頃は知識ほとんど0からスタートして、徐々に知識も増えていって、どんどん仕事が面白くなっていった時期です。

反面、知識不足が故にミスもあり、必死に勉強しまくった時期でもありました。
「図面って奥が深いな〜」と感じつつも、まだ施工図という世界は知らなかったです。

【次に】サブコン本社で施工図デビュー(約2年)

その後、大手サブコンの本社で施工図を描く仕事に就きました。
ここで初めて「施工図」という専門的な図面を描くようになったんです。

現場支援として、空調、換気、衛生(給排水・消火設備)などの施工図の叩き台になる図面を、描いていました。

施工図は最初は、設計図を元にザックリと描いていきます。(これが叩き台)

現場がスタートすると、設計図通りにいかないとか、他設備とぶつかるとか、設計変更、仕様変更などが次々と発生するので、その都度、図面も描き直しが必要となります。

当時使用していたCADは、3D CADのCADEWA(キャデワ)がメインですが、他部署の応援でJw_cadもたまに使っていました。

それから、いま超人気の設備系3D CADのRebro(レブロ)にも少し触りました。
Rebroの一日体験研修があり、また、会社が導入し始めたので、暇になった時に少し触らせてもらいました。

この頃は、2D CADから3D CADへ移行して、あまりの操作性の違いに「なにこれ?」って思うことばかりでした。
でも少しずつコツがつかめてきて、気づいたらめちゃくちゃ楽しくなってました。

ちなみにCADEWAは使いづらい点が多々あったので、当時は(Tfasだったら便利なんだろうな~。)と、Tfasに憧れと理想を抱いてました。

 

でも実際にTfasを使ってみたら、CADEWAより便利な点もありましたが、逆にCADEWAの方が良かったという部分もありました。

 

結局、どっちもどっちってコトですね。

【現場で】やっとTfasと出会う(約2年)

その後は、サブコンの現場事務所に異動。ここでは施工図だけじゃなく、事務職も兼ねてました。
この時に、長年実務経験を積みたいと願っていたTfasと本格的に出会いました

2D CADから3D CADへ移行した時とは異なり、CADEWAで3D CADに慣れていたお陰か、意外とスムーズに使いこなせるようになりました。

Tfasで一番独特に感じるのは、「シート」と「タブ」があることでしょうか。

シートを使って、建築や設備ごと、または階ごとなど、好きにカテゴリー分けできます。
レイヤとは別に存在するもので、慣れるとめちゃくちゃ便利な機能です。

【支店では】いろんな工事の施工図を描く(約2年)

次の職場は、同じ会社の支店。
ここでは現場支援担当として、空調・換気・給排水・消火ほか、幅広く経験することができました。

「現場支援」なので、現場事務所で働くのと違って、様々な工事の図面に関わることができ楽しかったです。

この頃にはTfasの操作もだいぶ慣れてきて、「新人さんにちょっと教えてあげられるかも」ってくらいにはなってました。

【そして今】フリーランスになって在宅ワークへ

その後、思い切ってフリーランスに。
その時のオファーによって、在宅だったり現場事務所に常駐して図面を描いたりしています。

今はまた在宅に落ち着いていますが、BIMを覚えてスキルアップしたいと思っているので、そのうちまた、どこかの現場に入るかも知れません。

 

コロナ禍で大きく流れが変わりました

ちょっと話が飛びますが、私がフリーになったきっかけは、コロナの影響でした。

もともと派遣社員として大手サブコンで働いていたんですが、コロナ禍で工事が次々に延期・中止になってしまって…。
正社員の人たちですら余るような状況となり、派遣は次々と契約終了になってしまいました。

そのとき、かつて現場でお世話になった協力会社の方が「よかったら、うちの仕事やってみない?」って声をかけてくださって。
それがきっかけで、地元の設備会社さんとつながることができました。

あの時のご縁がなかったら、今こうして在宅で仕事を続けることもできなかったと思います。

まとめ:施工図の仕事にたどり着く道は一つじゃない

ご紹介したように、施工図を描く仕事に至るまでの道のりは本当に人それぞれです。

  • 現場からの転向
  • 設計職からのキャリアチェンジ
  • 家庭と両立しながらの在宅ワーク
  • 専門学校からのスタート
  • 定年後の再雇用
  • 独学による転職チャレンジ

どのケースにも共通するのは、「建築や設備に興味があり、学ぶ意欲があること」。
そして、CADスキルさえあれば、年齢や過去の職歴に関係なく活躍の場があるということです。

もしあなたが「図面を描く仕事に挑戦してみたい」と思っているなら、それは十分可能な道です。
まずは自分に合った学び方から、一歩踏み出してみませんか?

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